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APOA2アイソフォーム検査について
アポリポ蛋白A2(APOA2)アイソフォーム検査とは
APOA2アイソフォームは、すい臓がんの診断補助に用いられる腫瘍マーカーです。
- 血液中にあるAPOA2というタンパク質には主に3つのタイプ(アイソフォーム)があり、健康な人はそのバランスが一定に保たれています。
- すい臓がんになると、このバランスが崩れてきます。
- APOA2アイソフォーム検査は、このバランスを示す指標「APOA2-i Index」を用いて判定を行います。
- 従来の腫瘍マーカーとは異なる物質を測定するため、これまで検出されなかったすい臓がんを見つけられる可能性があります。
APOA2アイソフォーム検査結果の見方と注意点について
- APOA2アイソフォーム検査結果(APOA2-i Index値)は、基準値未満の場合に、陽性(低値異常)と判定されます。
- 基準値以上の場合、陰性と判定されます。なお、陰性の場合であってもすい臓がんを否定するものではありません。
- 本検査の結果のみですい臓がんの診断はできませんのでご注意ください。
- すい臓がんの確定診断には他の関連する検査結果や臨床情報なども考慮した、医師による総合的な診断が必要となります。
APOA2-i Index値により陽性(低値異常)と判定された方へ
- 陽性(低値異常)と判定された方は、すい臓がんの可能性がありますので、本検査を受けられた医療機関に他の検査等を受けるべきかご相談ください。
- 検査結果の解釈において、以下の点にご留意ください。
- 本検査はすい臓がん以外のすい臓疾患(慢性すい炎など)でも陽性判定となる場合があります。
- すい臓がんや、すい臓疾患が無い方でも陽性判定となる場合があります。
そのため、本検査で陽性であってもすい臓がんであるとは限りません。
- その他の参考情報
2020年のすい臓がんの新規患者数は、全年齢で人口10万人あたり35.2人(0.0352%)、50歳以上では人口10万人あたり71.9人(0.0719%)と報告されています*。
* 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録) より算出
~詳しくAPOA2アイソフォーム変動のメカニズムを知りたい人のために ~
APOA2アイソフォームとすい臓がんにおける変化
- Apolipoprotein A2(以下、APOA2)は、主に3つのアイソフォームがあり、血中ではAPOA2-TQ/TQ、APOA2-TQ/AT、APOA2-AT/AT のダイマーで存在しています1,2)。
- C末端のアミノ酸が異なるそれぞれのアイソフォームは、膵由来エクソペプチダーゼ(カルボキシペプチダーゼAなど)によりC 末端が切断されたことに由来すると考えられています3)。
- すい臓がんになると、このC末端アミノ酸の切断様式が変化し、切断が亢進しAPOA2-AT/ATが優勢となる過剰切断パターンと、切断が抑えられAPOA2-TQ/TQが優勢となる切断抑制パターンの集団が増え、いずれの切断パターンにおいても、切断の中間体であるAPOA2-AT/TQは減少します2)。
APOA2-ATとAPOA2-TQの濃度を測定
APOA2-AT
APOA2
A
T
APOA2-TQ
APOA2
A
T
Q
APOA2アイソフォーム検査では、血漿中又は血清中のAPOA2-ATとAPOA2-TQの濃度を測定し、その相乗平均値APOA2-i Indexを算出します。
APOA2-i Index = √APOA2-AT濃度×APOA2-TQ濃度
このAPOA2-i Indexが、血中のAPOA2-AT/TQ 濃度と相関を示すことが分かっています4)。APOA2-i Index が基準値未満だった場合、陽性と判定します。
- 1)Honda K, et al. PLoS One. 2012; 7: e46908.
- 2)Honda K, et al. Biomark Med. 2016; 10: 1197-1207.
- 3)承認時評価資料「臨床性能試験報告書(APOA 2アイソフォーム検査キットの臨床性能試験)」
- 4)Honda K, et al. Sci Rep.2015; 5: 15921.